はじめに
出典は『自己催眠・心を変える技術』(林貞年,三五館,2016)です。
潜在意識とか自己催眠と聞くと,何だか胡散臭いと感じてしまうかもしれません。
なので,認知だとか,心理的バイアスだとか,そんな感じのものだと思って読んでみるといいかもしれません。
潜在意識の特性
■潜在意識には時間の概念がない――過去も未来もわからない(p102)
過去の出来事も、未来の出来事も、潜在意識にとっては、たったいま起きている出来事。
■潜在意識は否定語を認識しない――自己暗示は肯定言語を心掛ける(p105)
潜在意識には「~しない」という否定語が通用しない。
アファーメーションは肯定文で作成するのが基本。
■潜在意識は主語を理解しない――他人と自分の区別がつかない(p106)
潜在意識は何もかも「自分」として捉えてしまう。
潜在意識にとっては「だれがするか」は関係なく「何をするか」が重要。
■潜在意識の現状維持機能――いつもの自分でいようとする能力
潜在意識は現状を維持しようとする。
現状がコンフォートゾーン(居心地のいい場所)になっている。
人間が変わるためには、このコンフォートゾーンを変化させなければならない。
■潜在意識はできることだけをやろうとする――リソースが揃うまでまってくれない(p114)
潜在意識は自分が望む成功イメージに対し、リソース(素材=能力)がすべて揃うまでじっと待っていてくれない。現状できることだけをやろうとする。
(例)
成功イメージ:お金持ちになって早期リタイアする。
できること:仕事を辞める。
仕事を辞めたい衝動に駆られるが,資力がないので生活できない。
衝動を抑えつけるために、常に心の葛藤が起きている状態になる。
■潜在意識は意識の仕事はしない――自己実現を妨げる怠慢と無知(p119)
自身の枠の中で最良のものを選択するのは潜在意識の役目ですが、選択肢の枠を広げるために、知識やノウハウを身につけるのは意識の役目。
成功イメージや自己暗示をしたところで、自分が行動を起こさなければだれもやってくれない。
自己実現の最大の敵は無知と怠慢。
■心は隙間を許さない――空間ができると不安定になる潜在意識(p126)
人は心に空間ができると情緒不安定になる。
空間が埋まるまで,情緒不安定な状態が続く。
備忘録
■幸せの器を大きくするには、不幸なことを考えている時間より、幸福なことを考える時間を1秒でも長く味わうように心掛けることです。
喜びの大きさは感情の条件反射なので自由になりませんが、長さは意識でコントロールできるからです。(p134)
■習慣には「21日間の法則」というものがあり、同じことを繰り返し21日間続けていると習慣になってしまうのです。(p138)
最初はあまり長い目標を立てずに、とにかく21日間続けられるコンディションが整ってからスタートする。
■パターン・ニューロンの成長を定着させるためには、現実世界での経験が必要不可欠。
勇気を振り絞るための暗示が効いている間に実体験をしなければ、たとえ催眠の暗示といえども、元の自分に戻ってしまう。
恒常性維持機能によって催眠暗示が時間とともに揉み消されてしまう。(p143)
■あとがき――「原因型」の人生か、「影響型」の人生か?(p179-181)
「原因型」の人間はいつも自分の人生に責任を持っている。
「あの人が裏切ったから私の人生は狂ってしまった」
「あの人さえいなければ私はこんなふうになってなかった」
「親が離婚するような人だったから私の結婚もうまくいかなかった」
「影響型」の人間は他人に主導権を握られていることを認めている。
人生の舵取りを他人に委ねていては、思いどおりの人生が送れない。
主体性が必要。
いつも計算どおりにいかないのは、他人に対する期待が大きすぎるから。
一度しかない自分の人生、他人に舵を取らせてはいけない。