どうしたら我々はこの不安(あと人生の残りの時間がどれだけあるかという不安)から逃れることができるか?
それはただ一つ、人生を未来に目標を置いて運んでゆくのでなく、ただいま自分自身に集中させることによってだ。
未来に依存する者には、現在は無意味になってしまうからです。
しかし、僕が自分自身に課したことが為し遂げられ、心が一日と一世紀のあいだに何の違いもないことを確かに知るとき、たとえ将来何が起ろうとも心はそれを超越した高みから眺め、非常な上機嫌で時のつながりを考えることができるようになる。
君がそのように強い自信をもって予測すべからざるものに対するなら、偶然事の転変なぞによって不安になるわけがありますか?
だから、わがルキリウス君、急いで今の君の人生を生きるがいい、そしてどの一日もが自分の全人生であると思いなさい。
このような心構えで生きる者、毎日を全部自分の全人生として使いこなす者は、あらゆる不安から自由です。
「手紙」101-9・10
(p162)
『ローマの哲人 セネカの言葉』