子どもは、なぜ排除されるのか。
それは、子どもは自然であるからです。
都会は、原則的に自然を排除するところですから、子どもはじゃまになってしまう。
子どもは日常生活を妨害するものと、皆さんはなんとなく考えてないでしょうか。
うちで子どもが生まれる、冗談ではないと。
子どもを持ったらよくわかることですが、キャリアのお母さんが、明日大事な会議があるようなときに限って、子どもがはしかになったりする。これは自然です。
この仕方のない世界は、キャリアウーマンの世界には持ち込みにくい性質のものでしょう。
そういう意味で、都市は人間の自然を排除する。
それで少子化が起こるのではないかと思います。
(p106)
『自分は死なないと思っているヒトへ : 知の毒』
(養老孟司,大和書房,2006)
備考:
・「自然」とは,人間の力ではコントロールできないこと,領域のこと。
・「都市化」とは,自然を排除し,人間がコントロールできること,領域を増やすこと。
人間の歴史は都市化の歴史だと,養老さんは分析しています。