2016-07-31 能々(よくよく)思へば、此の世の楽(たのしみ)には心をなぐさむるにしかず。 読書 金言・箴言 だがよく読めば、この「貧男、差図を好む事」の急所は、 ――能々(よくよく)思へば、此の世の楽(たのしみ)には心をなぐさむるにしかず。 この一行にあるのは明らかだ。 長明にとって最も尊いのは、現実の世での成功や、栄耀栄華といった外面的なことにあるのでなく、目に見えぬ心というものを安らわせること、慰めること、楽しませること、充実させることの一事にあったのだ。 その慰め楽しませる手段は何でもよい。(p195) 『すらすら読める方丈記』 (中野孝次,講談社,2012)