エピクロスの、
「楽しき貧しさは、美(うるわ)しき哉」
を引いて、それをセネカが自分の言葉に変えたのだが、二人の名人の合奏を聴く思いがする。
貧乏が楽しいものになったら、それはむろんもう貧乏ではない。
所有の少ない人ではなく、渇望の多い人が、貧しいのです。
「手紙」2-6
(中略)
「往生要集」の、
「足ることを知らば貧といへども富と名づくべし
財ありとも欲多ければこれを貧と名づく」
とまるでそっくりの考え方だ。
賢者の考えは、古今東西にわたって変らないのである。
(p80-81)
※文章を読みやすくするために,一部文章の順番を入れ替えています。
『ローマの哲人 セネカの言葉』