はやく真人間になりたいよぅ(仮)

ゆるミニマリストの元ヒキニートが真人間になるためのブログ@oekakids

幸福な人生を作る原則

何よりもまず――この点でストア派はみな意見が一致しています――わたしは自然に従う。自然から外れず、その法則と模範によって人生を導くのが、知恵だからです。したがって幸福な人生とは、自分自身の本性と合致した生のことですが、そういう生は、まず心が健全であること、いつも健全を保ちつづけること、勇気と行動力があること、困難に毅然として堪えうること、時勢に適応できること、肉体と肉体に関連したすべてのことに配慮はするが、心配ばかりはしていないこと、それから人生をゆたかにするその他のことにも、意は用いるが過大評価はしないこと、運命の贈り物を利用はするがその奴隷とはならないこと、等々がないと、我々に与えられません。

 

「幸福な人生について」3-3

 

ずいぶんと欲張ってたくさんの徳を掲げたようだが、よく見ればこれはどれもストア派の原則――自分の権能のうちにある能力を大いに働かせて、自分の力で充足した満足しうる生き方を作りだし、運命がもたらすものは利用はしても依存するな――から導きだされていることがわかる。幸福とは自分で作り出すべきもので、外から与えられるものではないのである。それが自然に従って生きるということなのだ。

 

だから同じことを別なように言いかえることもできるとして、セネカは、「最高の善とは、偶然の与えるものを軽蔑し、自分自身の徳(倫理的成長)を喜ぶ心」だと言うこともできるし、また、「それは、事物に通じ、行動において考え深く、まわりの人々との交わりにおいては理解と配慮に富み、何ものにも屈しない心の力」と言ってもいい、と言う(p193-194)

 

『ローマの哲人 セネカの言葉』

中野孝次岩波書店,2003)